MFT2025出展申請 作品紹介

MFT2025出展申請 作品紹介

作品名:くうき・でんきエンジン

出展カテゴリ:ロボティクス,エレクトロニクス(Education)

1. 概要

MFT2025では,エアシリンダソレノイドを用いた,小型エンジンをそれぞれ紹介します。 エアシリンダは圧縮空気,ソレノイドでは電気エネルギから,エンジンの回転エネルギに変換します。 機械的要素の工夫によってエンジンが回転する様子だけでなく,回転時に生じる振動や音も楽んでいただけたらと思います。

エアシリンダとは

エアシリンダは圧縮空気を利用して動作し,主にシリンダとピストンで構成されています。 シリンダ内の圧縮空気がピストンを押し出すことで,直線的な動作を実現します。 エアシリンダは圧縮空気を利用して動作するため,エネルギー源として圧縮空気が必要です。

ソレノイドとは

ソレノイドは電気の力で動く装置の一種で,主にコイルと可動式の鉄心で構成されています。 コイルに電流を流すと電磁石として働き,内部にある鉄心を押す,あるいは引く力が生まれます。 この力によって,直線的な動作を実現します。

Youtubeではエアシリンダやソレノイドを用いたエンジンが散見されますが, 本作品では,小型で,金属材を用いたロマンのあるエンジンを,出展者2人で製作します。

2. 作品詳細

2.1 エアシリンダによる単気筒エンジン

単気筒エンジン

エアシリンダを用いて,単気筒のエンジンを製作します。 単気筒エンジンは,1組のシリンダとピストンにより駆動される最も簡潔な構成のエンジンであり,バイクや発電機等の小型の機器に多く用いられています。

以下に製作中の展示物のCADを示します.

エアシリンダを用いたエンジンは,一般的なガソリンエンジン等と同様に,エンジンの動作に合わせて圧縮空気を排気,吸気する必要があります。 特に今回製作予定の展示物は首振り式と呼ばれる,シリンダを揺動させて空気の流出入を制御するエンジンであり,簡潔で小型の構造が特徴です。 そのため,特殊な形状のエアシリンダを用いる必要があり,本展示ではアルミニウムとPOM,3Dプリント部品等を用いてエアシリンダを自作します。

エアシリンダの排気とピストンが引かれる様子

エアシリンダの吸気とピストンが押される様子

2.2 ソレノイドによる直列4気筒・V型6気筒・星型7気筒エンジン

ソレノイドを用いたエンジンでは,直列4気筒V型6気筒星型7気筒のエンジンを製作します。

以下は,3種類のソレノイドエンジンの共通仕様です。

ソレノイドCA05310180
ソレノイドのOnOff方式クランクとマイクロスイッチの接触
躯体材質アルミニウム,PLA
電源ACアダプタ (12V)
回転速度調節方式 可変レギュレータによる電圧調節 

エンジンの小型化のために,タカハのCA05310180という 小型のプルソレノイドを使用します。

エンジンの回転軸にはクランクという部品が取り付けられ,回転軸とともに回転します。 このクランクがマイクロスイッチと接触することで,ソレノイドがOnとなります。 エンジンを回転させるためのOnOffのタイミングは,クランクの形状を試行錯誤して決定しました。 このクランクは,エンジンの回転による振動を抑える役割も果たします。

クランク
マイクロスイッチ

さらに,ロマンあるエンジンのために,見栄えを意識しています。 躯体において,土台は3DプリンタでPLAを用いて印刷し,骨格部分はCNCによるアルミ材の切削加工をしています。 特にアルミの金属光沢は,エンジンのロマンを際立たせるためには必要です。

そして,エンジンの回転速度を調節するために,可変レギュレータを用いてソレノイドにかかる電圧を変更します。 プルソレノイドの鉄心を引く速さは,ソレノイドにかかる電圧に依存するため,この電圧によりエンジンの回転速度を調節することが可能となります。

直列4気筒

ソレノイドを直列に4つ配置した,直列4気筒エンジンを製作しました。 大きさは幅8cm×長さ7cm×高さ9.5cmで,重量243gの小型エンジンです。

このエンジンの駆動方法には種類がいくつかありますが,本作品では4気筒のうち2気筒ずつを交互に駆動する方法を採用しました。 2気筒ずつ交互に駆動するために,クランクの角度を180度ずらして配置しています。

V型6気筒

ソレノイドを2つずつV字に配置した,V型6気筒エンジンを製作しています。以下は参考にしているV型4気筒エンジンの動画です。

V字に2つずつ配置することで,幅を短くしながらも,回転エネルギーを効率的に得ることができます。

直列4気筒と同様に,クランクの角度をずらして配置することで,2気筒ずつを交互に駆動します。 ただし,V型6気筒では,クランクの角度を120度ずつずらして配置します。

星型7気筒

ソレノイドを7つ放射状に配置した,星型7気筒エンジンを製作しています。以下は参考にしている星型9気筒エンジンの動画です。

星型エンジンは20世紀半ばまで航空機エンジンとして使用されていたエンジンで,その形状と機構が非常にロマンに満ちています。 星型エンジンではクランクは1つで,7気筒であれば360÷7=51.4度ずつずらしてマイクロスイッチを配置することで ソレノイドのOnOffを制御し,回転を実現します。